ご挨拶

 
 今般、第44回日本てんかん外科学会を、2021年1月21−22日の2日間、新潟で開催することとなりました。大変光栄に存じておりますとともに、札幌医科大学医学部脳神経外科学教室の総力をあげて実りある会となるよう鋭意準備を進めているところです。
 テーマは「脳神経外科のてんかん治療」としました。Wieser先生と Yasargil先生が1982年に経シルビウス裂選択的海馬扁桃体摘出術を論文発表した後、多くの国内脳神経外科医がマイクロ手術としてのてんかん外科手術に工夫を重ねてきました。側頭葉てんかんの手術だけではなく脳梁離断術や大脳半球離断についても、日本のてんかん外科手術は出血のない術野、正常脳の温存という面で世界トップレベルとの手技とその教育方法を確立してきたと思います。これは手術研修でバイパスなどの基本的マイクロ操作を学習するシステムが日本の脳神経外科の根本であるからと確信しています。一方で、脳波判読や適応判断を学ぶ機会に関しては、広く十分に提供されているとは言えません。また、多くの脳神経外科医は手術だけではなく、脳卒中や頭部外傷後のてんかんに対して抗てんかん薬による内科的治療に従事しています。22日午後の教育セミナーに加え、シンポジウムにて手術手技はもちろん、脳波判読や内科的治療も含めた「脳神経外科のてんかん治療」について取り上げます。日本てんかん外科学会学術集会の役割は専門分野の発展ではありますが、脳神経外科全体の中でのてんかん治療の将来と教育についても皆様と意見交換できる学会にしたいと考えております。
 てんかん外科は機能的脳神経外科としての位置づけであり、今後治療や検査の主流となり得るトピックスについても取り上げます。治療に関しては迷走神経刺激療法の作用機序解明と効果予測、脳深部刺激療法や反応性神経刺激といった脳電気刺激療法、定位的深部脳波検査などが挙げられます。これらの新規医療を取り入れたてんかん外科の診療や教育体制へのシフトについて、エキスパートの基調講演を含めたセミナーやシンポジウムを開催します。
 会員の皆様におかれましては、ご支援・ご指導をお願い申し上げますとともに、本学会が最新の知識や意見の交換の場となるよう、多くの皆様のご参会をお待ちしております。

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